2026年2月、我が家のパピヨン・エイル(当時生後11ヶ月)がパテラ(膝蓋骨脱臼)の手術を受けました。
私はもともと「無知なまま生き物を飼うことは残酷だ」という考えが強くて、エイルを迎える前に飼育本を何冊も読み、かなり準備を整えてきたつもりでした。
パテラが遺伝的要素の大きい病気だということも知っていたので、お迎え前にブリーダーさんへ「両親にパテラの経歴はありますか?」と確認まで取っていたんです。「両親ともにパテラはなく、関節もしっかりしていますよ」と言われていたこともあって、すっかり安心しきっていました。
だからこそ、診断を告げられた時の衝撃が大きかったんだと思います。
そもそもパピヨンを選んだ理由のひとつが、「将来アジリティを一緒に楽しみたい」というちょっとした夢でした。
走ることが大好きで、部屋中を全速力で爆走するあの子と、いつかアジリティのコースを駆け抜けたい——そんなことをひっそり描いていた夢が、診断のひとことで遠くなった気がして。私の甘い考えがこの子の道を閉ざしてしまったかもしれない、と、しばらく暗い気持ちでいっぱいでした。
この記事で分かること
・パテラ手術をすぐ決められず、私が葛藤した理由と「決定打」
・「治った」という勘違いと、発症のきっかけになった滑る床(マット)のこと
・術後に強くなった「体重管理」と「偏食」のジレンマ
・ごはんや保険の見方がどう変わったか
情報に振り回されて身動きが取れなくなってしまっている方の、最初の整理に使ってもらえたらうれしいです。
発症から「治った」という勘違い。そしてパテラ手術を決断するまで
パテラの診断を受けてから、私はすぐに「よし、手術しよう」とは決断できませんでした。
初めて犬を本格的に飼う私にとって、小さな体にメスを入れることへの恐怖や、「本当に今、手術が必要なのか?」という迷いがずっと渦巻いていたからです。
「キャン!」と鳴いた日。グレード3と言われパニックに
異変があったのは2025年12月(生後8ヶ月半、体重4.7kgの時)。
家に帰った際、エイルがいつものように喜んで出迎えてくれた直後に「キャン!💦」と鳴いて、ずっと右後ろ足を上げて三本足でケンケンして歩くようになってしまったんです。
驚いて両親に聞くと、「実は今日、廊下を爆走して方向転換した時にマットで足を滑らせてから、何かの拍子にキャンって鳴くようになっちゃって」と。私がいない間に、そんなことがあったなんて——と、胸が痛くなりました。
急いで病院へ駆け込むと、「パテラのグレード3になりかけ」との診断。
かかりつけ医は「痛み止めを使いながら様子を見る方針」でしたが、
セカンドオピニオン先では「若いので早めに手術したほうがいい」と意見が割れて。
「痛み止めだけでは根本解決にならないのでは?」
「このまま三本足で歩くことになったら他の足や腰に負担がかかっていくんじゃないの?」と、不安ばかりが膨らんでいきました。
治ったと勘違いした1ヶ月後、突きつけられた「固着」の現実
その後、年が明けた2026年1月頃には足を上げる頻度が減り、見た目には「もう手術しなくてもいいのでは?」と思うほどエイルは普通に歩くようになりました。
それを見て、「安静にしていたのが良かったんだ!✨」とすっかり安心しきっていたんです。
しかし、1月末の再診でノミダニの薬をもらうついでに「もう痛そうじゃないし、爆走しています!😊」と伝えたところ、診察した獣医師からの言葉は衝撃的なものでした。
「悪化しています。関節が外れたまま固着しています」
外れたり戻ったりを繰り返していた関節が、外れた状態に体が慣れてしまい、逆に戻そうとすると痛がる状態(感覚としてはグレード4に近い状態)になっていたんです。
元気に見えていたのは、治ったからではなく「痛みを隠して慣れてしまっていただけ」でした。
痛がっていないのにメスを入れる?私が手術を決断した理由
かかりつけの獣医師からは「本人が痛がっておらず生活に困っていないなら、このまま様子を見る選択肢もある。ただ、元に戻ることはないし、成長しきってからでは手術が難しくなる」と説明を受けました。
私は待合室で、必死に考えました。
手術の最大のデメリットは麻酔のリスクだと言われていましたが、エイルは若くて体力があります。
逆に手術を選ばず、外れた関節のまま過ごし続けたら?
その負担は必ず、もう片方の足や腰、首などに広がっていくはずです。
犬は言葉で痛みを伝えられません。いくら遊んでも物足りないくらい爆発的な体力を持つエイルが、若いうちから思うように体を動かせなくなるのはあまりにも辛い。
せっかく生まれてきた命だから、全力を出して楽しめる犬生を送ってほしい。
それでも、ぐるぐる考えながら最終的に手術を選んだのは、「様子を見る」という選択の先にあるリスクを鮮明に想像したからです。
もし甘い考えが外れて、このまま一生ケンケンで過ごすことになったら——大好きな散歩も、ドッグランを全力で走ることも、もう一生できなくなるかもしれない。
バランスをとり続けることで、他の足や腰にも負担がかかり続ける。老後に動けなくなるのが早まるかもしれない。
そしてセカンドオピニオン先で言われた「若いうちでないと関節が固まって手術できなくなる」という言葉も、頭から離れませんでした。タイムリミットがある。様子を見ている時間は、思っているより長くないかもしれない。
「手術するかどうか」ではなく「この先どう暮らすか」で考えた時、答えはひとつでした。私はその日のうちに「先生、パテラの手術をお願いします」と伝えました。
パテラをきっかけに見直したこと①|床対策は「何か敷けばいい」では足りなかったと痛感した
パテラの情報を探すと、必ず「床で滑らないように」と書いてあります。私もそれは分かっていたつもりで、畳の部屋にはタイルマットを、廊下にも長いマットを敷いて対策をしていました。
実は、エイルが最初に「キャン!」と鳴いて発症した12月のキッチンでの出来事は、家族の「ちょっとした油断」が原因でした。いつもはマットを敷き詰めているのに、おしっこで汚れたマットを洗っている間だけ、仮で「滑り止めのついていない薄手のマット」を乗せていたのです。
廊下を爆走してきたエイルがその上で急な方向転換をした瞬間、マットごと足が滑ってしまいました。
この経験で気づいたのは、私が対策として意識していたのは「足の裏がマットの上で滑らないこと」だけだったということです。マット自体が床の上でズレる、という発想がそもそも抜け落ちていました。
滑り止めがついていても薄手で軽いマットは、勢いよく方向転換した瞬間にマットごと動いてしまいます。「何か敷いてある」と「ズレない環境が作れている」は、全然別のことでした。
パテラを悪化させないため、再発させないための床対策はもちろん、本来であれば最初から発症させない環境づくりとして、もっとちゃんと考えられていたはずだったと、今でも思います。
🐶 関連記事
パピヨンの散歩時間はどれくらい?エイルと一緒に学んだ「歩かない」理由とパテラを守る歩かせ方
パテラをきっかけに見直したこと②|いちばん難しかったのは、術後の体重管理と偏食が同時にあることでした
これが、術後でいちばん悩んだ問題でした。
エイルはもともと食に興味が薄く、避妊手術後からさらに食べムラが悪化。生後10ヶ月を超えた頃には、1日30gしか食べない日や、大好きなブロッコリーだけを食べて終わる日もありました。
「食べないなら、まずはなんでもいいから食べさせよう」とトッピングを駆使していましたが、パテラが発覚してからは「関節に負担がかかるから、これ以上太らせるわけにはいかない」という矛盾したような状況に困り果ててしまいました。
避妊手術で代謝が落ちているのか、食べないのに体重は増えていく……。
「太らせたくない、でも関節や筋肉の為に栄養は取ってほしい、でも食べない」。もう、どうしていいのかわからなくなってしまいました。
フード選びに、「体重管理」と「関節ケア」が加わった
パテラが重なってから、フードに求めるものがさらに増えました。
以前からエイルの偏食に悩んでフードを色々試してきましたが、そこに「体重管理」と「関節ケア」という新しい条件が加わったからです。
「食べてくれるか」だけでも四苦八苦していたのに、その先まで見なければいけなくなって。
そこから探し始めたのは、体重管理と関節ケアを両立できて、余計なものが入っていない、日本の小型犬に合ったフード。自然とネット購入のフードが中心になっていきました。
🐶 関連記事
ミシュワンの口コミ|パテラ術後の偏食パピヨンが完食した実食レビュー
パテラをきっかけに、「比較して選ぶ」ことの意味がやっと分かった気がします
実は私、以前飼っていた鳥のフード選びはかなり徹底的に比較検討していました。成分のパーセンテージから国産・外国産のメリットデメリットまで調べて、セミナーにも参加して。
でも犬は初めてで、まだ何の失敗も後悔も経験していなかったのもあり、エイルのフードは「手軽に買えるものの中から、なんとなく良さそうなもの」で済ませてしまっていました。
パテラを経験して、そこに気づきました。食べるものは体を作る——当たり前のことなんですけど、初めてその重みを実感した気がします。
完璧なフードなんてないけれど、その時のエイルの状態を見ながら、食いつき重視・関節ケア重視・体重管理重視と優先順位をつけて選ぶようになったのは、あの経験があったからだと思っています。
🐶 関連記事
【2026年最新】パピヨンのドッグフード比較|涙やけ・偏食・パテラの悩み別おすすめ
手術費用やこれからの通院を考えて、保険の見方も変わりました
私は、エイルを迎える前からずっと「貯金で備えるか、保険に入るか」を迷っていました。
以前飼っていた鳥の通院経験から、「お金があっても治療できないことがある」という現実を知っていたからです。
でも犬は違う。
手術も治療も選択肢がある分、お金が原因で選べる道を狭めてしまうのだけは避けたくて、エイルをお迎えする前にかなり入念に比較検討して加入を決めました。
それでも、まさかこんなに早く使うことになるとは思っていなかった。誤飲に始まって、パテラの手術まで。実際に高額な請求書を手にした時、心から「入っていてよかった」と思いました。
🐶 関連記事
パピヨンのペット保険は必要?パテラ・骨折に備える「後悔しない選び方」と5つのチェックリスト
まとめ|パテラでいちばん苦しかったのは、手術そのものより「この先どう暮らすか」が見えなくなることでした
エイルがパテラと診断されてから、そして手術を終えてから。一番悩んだのは「手術をするかどうか」という目の前のこと以上に、「じゃあ、これからどうやって生活していけばいいの?」という日々の正解が分からないことでした。
「太らせないように」「運動を制限して」「滑らない工夫を」と病院で言われても、じゃあ偏食ですぐ太るエイルの体重管理を具体的にどうするのか、家の中の対策をどこまでやればいいのか。最初は完全に手探りで、途方に暮れていました。
でも、毎日エイルと向き合う中で少しずつ分かってきたのは、足のことばかりを心配するより、「ごはん・体重・日々の暮らし」を全部セットで考えたほうが、かえって自分の中でやるべきことが整理しやすい、ということでした。
今日いきなり完璧な環境を作ろうとしなくても大丈夫です。
まずは床の滑り止めを一つ見直してみる。「今は関節ケア」「今日はお腹へのやさしさ」と、その時の状態に合わせてごはんを選んでみる。
私たちのこの手探りの記録が、同じように「これからどうしよう」と悩む飼い主さんの心を、少しでも軽くできたら嬉しいです。


コメント