「何が悪かったんだろう……」
愛犬エイルがパテラ(膝蓋骨脱臼)と分かったとき、私が真っ先にしてしまったのは、そんな「原因探し」でした。
「あんなに走り回るのが大好きだったのに、私のせいだ…」と自分をたくさん責めましたし、「お迎え前にブリーダーさんに遺伝の経歴がないか確認していたのに、なんで?」という悔しさもありました。
(※発症した日のことや、そこからパテラ手術を決断するまでのリアルな葛藤については、[こちらの別記事]にまとめています)
でも、パテラの原因を調べて整理すればするほど、「原因はこれだ!」ってひとつに絞りきれるほど単純な話じゃないんだなと気づいたんです。
もともとの骨格や関節のゆるさ、フローリングの滑りやすさ、ちょっとした体重の変化、毎日のジャンプ、筋肉の弱さ……。 こういう小さなことが、少しずつ積み重なって、今の状態に繋がっているんだなと感じます。
この記事では、愛玩動物飼養管理師であり、実際に愛犬のパテラ手術を経験した私が、パテラの原因を整理しながら「じゃあ今日から家で何を見直せばいいのか」を優先順位つきでまとめました。
『あの時ああしていれば』と過去の答え合わせをするより、『これ以上、関節への負担を重ねないために何から手をつけるか』を一緒に考えていきましょう!
「遺伝だから仕方ない」だけで終わらせないために
パテラは、生まれ持った骨の形や関節のゆるさが関係していることが多い病気です。病院では、膝の関節がおさまる溝が、生まれつき浅いことが原因のパターンが多いと聞きました。

チワワ、トイプードル、ポメラニアン、マルチーズといった小型犬によく見られますが、エイルのようなパピヨンも実は注意が必要な犬種なんですよね。
しつけ教室の先生にエイルのパテラのことを相談したときも、「最近、小型犬のパテラはものすごく増えていますよ」というお話を聞きました。それだけ、どの子にとっても身近で、決して他人事ではない病気なんだなと改めて感じています。
私がエイルをお迎えする前にブリーダーさんに確認したのも、その知識があったからです。でも問題は、それで安心しきってしまったこと。
「遺伝がある=必ずなる」ではないように、「遺伝がない=絶対大丈夫」でもなかったんです。
生まれつきの骨格(膝のお皿が収まる溝の浅さなど)や関節のゆるさは、あくまでリスクの「土台」。それだけで発症が決まるわけではなく、そこに環境・体重・筋力・毎日の動き方が重なって症状が出てくることがほとんどです。
「遺伝が関係している」と聞くと防ぎようがなかったように感じてしまいますが、「だから何も予防や対策ができない」というわけではありません。
この「変えられないこと」と「今から変えられること」を分けて考えるだけでも、「私のせいだ」と悩みすぎたり、「もう仕方ない」と諦めたりせずに済むと思うんです。
「洗濯中の仮置き」で一生後悔。本当に怖いのは床ではなく“油断”でした
エイルの足の様子がおかしくなったキッカケは、キッチンのマットでした。
先ほど紹介した体験談の記事でも触れていますが、いつもは滑り止めマットを敷き詰めているのに、洗濯中で仮置きしていた「薄手のマット」の上でエイルが急旋回し、マットごと足が滑ってしまったんです。
「うちはちゃんとマットを敷いているから大丈夫」と思っていたのに、たまたま仮置きした1枚のマットで滑らせてしまい、本当に悔やんでも悔やみきれません。
【日常でヒヤッとする「膝に悪い」瞬間】
- スイッチが入って、突然走り出した時
- 爆走して、滑りながら急ブレーキをかける時(車のドリフト走行みたいな)
- 爆走中に急な方向転換(ターン)をした時(エイルのパテラ発症はこれが原因でした)
- お出迎えなどでテンションが上がってぴょんぴょん跳ね回る動き
パテラの話になると「滑る床に気をつけて」とよく言われます。でも、実際にエイルをパテラにさせてしまった私が今、一番伝えたいのは「『ここなら大丈夫だろう』という、ほんのわずかな隙間や油断が一番怖い」ということです。
家じゅうを完璧にカバーするのは確かに大変です。時間もお金もかかります。でも、エイルが発症したきっかけは、普段はしっかり対策していた場所で、たった1枚だけ「仮置き」していた滑り止めのない薄いマットでした 。
「洗濯している間だけだから」「ここはそんなに走らないから」という、飼い主のちょっとした「これくらいならいいか」が、愛犬が勢いよく動いた瞬間に、一生後悔するような怪我に繋がってしまいます 。
マットを敷くなら「とりあえず何かを置く」のではなく、「1ミリも滑らせない、絶対にズラさない」という執念をもった準備が、愛犬の膝を守るためには絶対に必要だと痛感しています。
小型犬は数百グラムの体重増加でも関節に響く
パテラと付き合っていく上で、地味に見えて絶対に甘く見てはいけないのが「体重管理」です。
小型犬は体が小さい分、「ちょっとぽっちゃりしたかな?」くらいの変化でも、膝の関節には相当な負担がかかってしまいます。
例えば、体重4kgの小型犬にとっての「たった500g」の増加は、体重50kgの人間でいうと「約6kg」も一気に太ったのと同じ計算になります。常に5kgのお米の袋を抱えたまま、走ったりジャンプしたりしていると想像してみてください。……関節が悲鳴を上げてしまうのも当然ですよね。
エイルはもともと食が細い偏食っ子でしたが、避妊手術後に代謝がかなり落ちてしまい、食べる量は少ないのに体重が増えていく時期がありました。「太らせたくない、でもパテラのために栄養は摂ってほしい、でも食べない、だからトッピングを増やす→太る」という悪循環は、本当に悩ましかったです。
体重管理と聞くと「ごはんの量を減らさなきゃ」と思いがちですが、実は意外と見落としやすいのがこんな部分なんです。
- 喜ぶからと、家族がこっそりおやつをあげている
- しつけやトイレのご褒美が、1日で結構な量に積み重なっている
- 時間稼ぎであげているアキレスやジャーキーが思ったより高カロリー
- 食いつきを良くするための「ふりかけ」や「トッピング」のカロリーを計算していなかった
だからこそ、「とりあえずドッグフードを減らそう!」と焦る前に、まずは1日の間に「メインのごはん以外で、何をどれくらい口にしているか」を家族全員で洗い出してみるのが、一番確実な第一歩になります。
エイルもそうでしたが、パテラの不安を抱えながら「何キロまでなら大丈夫なのか」を自分で判断するのはすごく難しかったです。
というのも、同じ犬種でも、生まれ持った骨格や体格によって「適正体重」は全く違うんですよね。 例えば、エイルは両親も大きめの血統なので「4.5kg」がベスト体重と言われていますが、同じ月齢のパピヨンちゃんでも、もともとの骨格が小さければ「3kg」が適正だったりします。
だからこそ、ネットに載っている「犬種別の平均体重」を見てひとりで悩んでしまう前に、まずはかかりつけの先生に「この子の骨格なら、ベストな適正体重はどれくらいですか?」と聞いて、一緒にゴールを決めてもらうのが一番安心ですよ。
「1回のケガ」の裏には、毎日の「ダメージ蓄積」が隠れている
エイルのパテラが発症した直接のキッカケは「たった1回のマットでの滑り」でした。だから「1回の油断が怖い」というのは私の痛切な実感です。
でも、パテラについて調べたり後から振り返ってみたりすると、実はその前から「関節へのダメージの貯金」をさせてしまっていたんだなと気づきました。
パテラ発症前のエイルは、本当に元気いっぱいで……
- 嬉しくてテンションが上がると、カンガルーのようにビヨンビヨン高く飛び跳ねる
- 廊下からダッシュで助走をつけて、ベッドに思い切り飛び乗る
- おもちゃを追いかけて急停止・急旋回する
- 突然スイッチが入って廊下をシャトルランのように爆走する
飼い主から見れば「今日も元気だな」「身体能力高いな!」と微笑ましく見ていた動きですが、実はこれ、膝の関節や靭帯には毎回じわじわと負担がかかっていたんです。
その「毎日のダメージの積み重ね」で膝周りが少しずつダメージを受けていたところに、あの「マットの滑り」が決定打になってしまったのだと思います。
つまり、ソファや段差からの飛び降り、抱っこからの着地などは、「その1回で即座に骨が折れる」わけではなくても、「いつかパテラを発症させるためのダメージ」として確実に蓄積していきます。
これらをすべてゼロにする必要はありません。でも、「ベッドやソファにはステップ(スロープ)を置く」「抱っこから下ろすときは、ジャンプさせず床までしゃがむ」「カンガルージャンプが始まったら、お座りさせて落ち着かせる」くらいなら今日からできますよね。
この少しの工夫が、愛犬の膝を守る大きな差になります。
「安静にしすぎて筋力が落ちる」という罠
筋肉をつけるというと、「とにかく走って鍛えなきゃ!」って思いがちですよね。実は私もそう思っていました。 でも、よく考えたら人間だって、膝を痛めている時や術後にいきなり走ったりなんて絶対にしないですよね。ゆっくりお散歩から始めますよね。
犬の足も同じで、後ろ足の太ももの筋肉(大腿四頭筋など)には、膝のお皿を外側からテーピングのようにガッチリ支えてくれる役割があります。パテラの子は、この「天然のサポーター」となる筋力を落とさないことが何より重要なんです。
だからといって、いきなり負荷の強い運動やダッシュをさせるのはNGです。 逆に、「パテラだから歩かせないほうがいい」と抱っこばかりして過度に安静にしすぎると、今度は筋力が落ちてさらに膝が不安定になる(外れやすくなる)という悪循環に陥ってしまいます。
大事なのは、関節に無理をかけず、日常で使える筋力をキープすること。エイルも痛みが落ち着いている時期は、走らせずにゆっくり長めの散歩をしていました。
その時、歩く「地面」にも少し気を配ってあげると安心です。 硬いコンクリートやアスファルトよりも、土や芝生の上、あるいは大きめの公園などにあるクッション性の高い柔らかい歩道を選んで歩かせてあげると、足腰への衝撃をかなり減らすことができますよ。
今の愛犬のパテラのグレードに合わせて、どの程度の時間や運動量が適切かは、必ずかかりつけの先生に相談して決めてくださいね。
全部いっぺんじゃなくていい!今日から見直すチェックリスト
環境整備の話を知れば知るほど、「じゃあ家じゅう全部リフォームしないとダメなの?」と極端に考えてしまいがちですが、完璧を目指すと一歩目がなかなか踏み出せなくなります。
まずは今日からできること、優先順位をつけて整理しました。
まず最初に取り組みたいこと(優先度:高)
- 今の体重を量り、先生と「その子の適正体重」を相談する ネットの平均体重ではなく、その子の骨格に合ったゴールを先生と一緒に決めておきましょう 。
- 一番よく走る・滑る場所に「ズレないマット」を敷く 家じゅう完璧じゃなくていいんです。まずは「いつもの爆走ルート」の滑りをゼロにする執念を持ちましょう 。
- ソファなど、ジャンプしやすい場所にステップを1つ置く 「1回くらい」のジャンプの蓄積が膝へのダメージ貯金になります。まずは1箇所、お気に入りの場所に置いてみてください 。
- 歩き方の違和感(スキップなど)があればスマホで動画を撮る 病院ではシャキッと歩いてしまう子が多いです。家での「あれ?」という瞬間が、先生にとって一番の診断材料になります 。
余裕ができたら見直すこと(優先度:中)
- 足裏の毛と爪が伸びすぎていないかこまめにチェックする 爪が伸びているだけでも滑りやすくなります。お家で難しければ、爪切りだけのためにサロンや病院を頼っても大丈夫です 。エイルも月に1回程度、近くのペットショップの入ったホームセンターや病院でササッとカットしてもらっています。
- 1日にあげている「おやつ・トッピング」を家族全員で書き出す 「ごはんを減らす」前に、まずは口に入っている全てのカロリーを把握するのが体重管理の近道です 。普段何気なく与えているオヤツも、整理してみると意外と積み重なっていることが分かります。
- 「急ターン」の遊びを控えて、鼻を使う遊びを取り入れる ボールを追いかけるような激しい動きの代わりに、おやつを隠して探させる「ノーズワーク」なら、膝に負担をかけずに楽しくエネルギーを発散できますよ 。
獣医さんに受診する時に「伝えると助かること」
パテラを診てもらうとき、いざ診察台に乗ると緊張してシャキッと立ってしまい、家と同じような歩き方をしないことがあります。
エイルもまさにそうで、診察台の上ではガチガチに緊張して痛みを隠してしまっていました。でも、先生に床へ下ろしてもらうと、途端にケンケンして歩く姿を見せたんです。
なので、診察台で症状が分かりにくい時は「一度、床を歩かせてみてもいいですか?」とお願いしてみるのもおすすめです。
ただ、人間でも「病院に行って先生の前に座ると、なぜか不思議と症状が落ち着く…」なんてこと、よくありますよね😅
犬も同じで、病院の床に下ろしても気を張って普通に歩ききってしまう子もいます。
だからこそ、先生が本当に知りたいのは「家で完全にリラックスしている時の、本来の様子」なんです。これは、毎日一緒にいる飼い主にしかわからない貴重なデータです。
「こんな細かいことまで言っていいのかな」なんて遠慮はいりません!正確な診断をしてもらうために、以下のポイントをメモしたり、スマホで動画を撮ったりして持っていくのが一番間違いありませんよ。
🎥 症状が出る「タイミング」や「様子」を動画に撮る
「どの足を」「どんな時に(起き抜け?走り回った後?)」上げているのか。言葉で説明するより、動画を見せるのが一番確実です。
特に、エイルのように「見た目には元気で爆走しているのに、実は関節が外れたまま固着していた」というケースもあります。「今は痛がってないから大丈夫」と自己判断せず、少しでも違和感があった時の動画を先生に見てもらいましょう。
🏠 お家の「足元環境」を伝える
床の素材は何か、滑り止めはどこまで敷いているか。段差(ソファや階段)をどれくらいの頻度で使っているか。
お家の状況を具体的に伝えると、先生も生活に即したアドバイスがしやすくなります。
⚖️ 最近の「体重」や「食生活」の変化
「最近ちょっとおやつが増えたかも」「トッピングを変えてから少しふっくらしたかも」といった変化も、パテラの管理にはすごく重要なヒントになります。
まとめ|「何が悪かったか」より「今から何ができるか」
パテラの原因は、どれか一つだけではありません。遺伝的な骨格、床の滑りやすさ、体重、筋力、そして日々の何気ない動き……。
それらが少しずつ重なり合って、ある日突然「痛み」や「違和感」として現れます。
「遺伝だから防ぎようがなかった」と諦める必要もないし、「あの時ああしていれば……」と過去の自分を責め続ける必要もありません。
一番大切なのは、「今、この家の中で、愛犬の足の負担をあと一つ減らせる場所はないか?」と、今日からできることを探して見直していくことだと思います。
最初から100点満点の環境を目指さなくて大丈夫です。
- 今週、よく滑る場所にマットを1枚買い足す。
- おやつの量を少しだけ正確に把握してみる。
その小さな一歩の先に、愛犬がシニアになっても自分の足で元気に歩き回れる未来が必ず繋がっています。
具体的なお散歩のコツや運動のさせ方、手術をするかどうかの判断基準、そしてエイルが実際に食べている関節ケアフードについては、また別の記事で詳しくまとめています。
「今すぐできること」のヒントをたくさん詰め込みましたので、ぜひそちらも合わせて読んでみてくださいね!
👉ミシュワンの口コミ|パテラ術後の偏食パピヨンが完食した実食レビュー

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